幡井 勉先生を御偲びして

秋田アーユルヴェーダ研究所の設立にあたり、わざわざ御来秋下さった。命名して下さったのは幡井勉先生でした。
先生は東邦大学医学部の名誉教授であられ、退職後アーユルヴェーダに惹かれ、関心を持つ人、更に関心を持たない人には持って欲しいと望み、全ての人々に喜んで御指導下さった日本に於けるアーユルヴェーダの最高のリーダーでした。
第31回日本アーユルヴェーダ学会東京研究総会の会場でお会いした折「診療しておられるのですか」と御尋ねしたところ、「勿論やっているよ、秋田アーユルヴェーダ研究所はどうかね?」と御心配下さいました。それが最後の先生との会話となってしまいました。
2010年2月10日91歳で御逝去なさるまで診療を続けられ、日本のアーユルヴェーダ(インド伝承医学)の普及発展と指導、後継者の育成と精力的に御活躍なされて、あの世に旅立たれました。
その御軌跡は見事であり、もうお会い出来ないと思うと惜しまれてなりません。私は第2期生として学びました。講義の時、幡井先生は「今、頭の中が混乱しているかも知れないが、一先ずこれらの言葉に馴れて欲しい、そうでなければ進まないし、解りませんからね」、最初の講義が終わった時、廊下で「解った?」と会う生徒毎にお聞きになる。「まだ混乱しています、まだ・・・」が大方の生徒の声で、あの時のことが鮮明に思い出されます。
サンスクリット語で教示される上に体質毎の違いの内容ですから混乱状態になるのが当たりまえでした。秋田から上京を繰り返して学ぶのは本当に大変でした。5000年の歴史を持つ生命の科学アーユルヴェーダに触れ、心底良かったと思っております。
秋田で当院主催のセミナーに加藤幸雄先生と一緒に熱のこもった御講義をなされ、秋田でのアーユルヴェーダの普及に御尽力を賜りました。今当院では西洋医学の診療を行っている時でもアーユルヴェーダで学んだ知識は生きております。
先生を団長として訪れたインドでの学会は私にとって外国旅行の最初にして最後でしょうと思われます。伝統医学の本を求めた時、新樹社の和田様に先生のことをお聞き致し、先生のもとに訪れて、御指導賜ることが出来ました。先生、誠に有難うございました。心から御冥福をお祈り申しあげます。
先生の前向きに輝く童眼がまだ生き生きとして「やはり、アーユルヴェーダですよ、・・・」とおっしゃっているように映ります。

